我が国最古の歌集とされる『万葉集』。そこには、万葉の時代を生きた人びとの4500首を超える歌が収録されています。中でもとりわけ多いのが「恋の歌」です。純粋で素朴な歌から、大胆で情熱的な歌まで・・・1300年以上の時を経ても変わらぬ想いは、今を生きる現代の人びとへと詠み継がれています。
本展では、想いを歌い合った「恋の歌」(相聞歌)をテーマとして、アニメーション、イラスト、黒板アート、漫画、日本画、古典籍、衣装や陶磁器人形など、さまざまなジャンルの作品を展示し、恋多き万葉の時代を皆さまにご紹介します。
アニメーションのエリアでは、国内外の若者に絶大な影響を与え続けている新海誠監督が2013年に手掛けた、『万葉集』の一篇から始まる“孤悲(こい)"の物語「言の葉の庭」の制作資料や、「言の葉の庭」ポスターイラスト、小説版の挿絵を手掛けた四宮義俊氏のイラストなどを展示します。また、当館研究員が監修にあたり、瀧玲子氏が漫画を手掛けた『マンガで楽しむ 古典万葉集』(ナツメ社発行)からは、漫画を通して愛に生きた万葉の人々の想いに触れていただきます。
万葉の時代に詠まれた恋歌の数々と、現代に表現された万葉歌の世界…。1300年を経ても変わらぬ人びとの恋する想いを、ぜひ本展を通してご堪能ください。