1949年、近藤邦雄は新潟県長岡市に生まれました。大学時代から、金属やビニールなどを素材に彫刻やインスタレーションなどの多様な表現に挑み、また、陶と金属、木材などを組み合わせた作品を発表するなどして注目を集めます。1978年にイタリアへわたってから、近藤は彫刻における空間表現の可能性を模索します。ケヤキやクルミなどの木材を「寄せ木」の手法で組み合わせ、果物のようなかたち、あるいは、幾何学的な複合図形といった作品を生み出しました。1988年に帰国し、木彫制作を展開させるいっぽう、椅子やテーブルなどの家具デザインにも取り組みました。しかし1996年、突然の交通事故により、近藤は47歳の若狭で急逝します。確かなテクニックをものにし、早くから多彩な表現を開花させた近藤邦雄。その初期からイタリア時代を中心とした木彫作品のほか、家具や写真、ドローイングなど、約120点の作品により近藤邦雄の表現世界をご紹介します。