明治生まれの伊藤喜久井氏は、妻として母として忙しい日々を送りながら、温かい眼差しを対象に注ぎ、数多くの作品を制作しました。庄内の自然の中で逞しく生きる女性や純真な女の子―その内在する思いを映しとると同時に、戦後の経済成長期に変容していく庄内の風俗も描き残しています。
日本画技術の研究と普及発展や後進の育成に尽力し、鶴岡市市政功労者表彰を受けたほか、地域の文化向上に著しく貢献した功績によって山形県より齋藤茂吉文化賞が贈られました。
本展は、郷土を代表する日本画家・伊藤喜久井氏の没後15年の節目に、その画業や志、後進育成への熱き思いを振り返ります。伊藤喜久井氏の大作約20点を中心に、物故した初期門下生の作品を展観します。