いま、美濃加茂市民ミュージアムの森には9点の彫刻作品があります。市内には、美濃加茂彫刻シンポジウムで設置された現代彫刻が30点以上あります。また美濃加茂市民ミュージアムでは、シンポジウムの理念を引き継ぐかたちで、作家がこの地に滞在して制作やワークショップを行い、展覧会で発表するレジデンスプログラムを開催しています。
ここを訪れる彫刻家たちが制作に向かうとき、必ずと言っていいほど身体の感覚を研ぎ澄ませるようにして作品を作っていきます。自然の中で着想の源を掴もうとするとき、自分を取り巻く世界への洞察を掘り下げるとき、あるいは完成した作品を置く空間を捉えて自分の表現を結実させるため、作家たちはあらゆる身体の感覚を働かせます。「身体」は常に、美術作品を生みだす基点となっているのです。
そのようにして生み出された美術を楽しむには、見る人もただ目で眺めるだけではなく、「身体」を使って鑑賞するのが一番の近道です。五感や全身の肌の感覚を研ぎ澄ませるようにして身体を空間に委ねてみるとき、人が作っている過程を想像してみるとき、今までと違う感じ方で美術を楽しむことができるかもしれません。
この展覧会は外の森へと続いています。夏の森を歩きながら、自然の中に息づく彫刻作品の数々をお楽しみくださいませ。