美濃加茂市民ミュージアムは、「地域ゆかりの作家」「芸術と自然」を美術の収集方針としてきました。近年、美濃加茂市にゆかりの深い版画家・舩坂芳助/堀江良一/安藤真司の作品寄贈を受けたことから、「日本近現代の版画」を新たな方針として加えました。
本展では平成28年度、美濃加茂市在住の大矢正充氏より寄贈を受けた版画を展覧いたします。大矢氏は舩坂芳助氏と親交が深く、舩坂氏の展示を見るためにギャラリーを訪れるようになったことがきっかけで版画の蒐集を始めたといいます。
今回の寄贈品は日本近現代の版画60点と、素描1点、作品集3点です。この作品群は、戦後の版画界をけん引してきた版画家の作品で構成されていますが、技法や画風や会派など、特定の偏りは見られません。伝統を継承した作品もあれば、新技法を駆使した現代的な作品もあり実に多様です。
当時の新進作家の作品を含むこと、代表作といえる意欲作が多いことも、足繁く画廊を巡り作家や作品との出会いを楽しんできた時間を象徴しています。作品を手元に置き大切に眺めるように、絵の中の世界をお楽しみいただければ幸いです。