棟方志功はたくさんの書作品を遺しているが、特に晩年の書には力強さを感じる。
棟方作品にはこのような書作品だけではなく、絵画と文字が一体となった作品や文字そのものを絵画作品としたものなど、文字と関わる作品が数多くある。
画家との交流より文学者との交際が多かった棟方は言葉や文字に対する想いが、より強く働いたのであろう。
画家を目指して上京後まもなく、川上澄生の版画「初夏の風」を見て絵画と詩句を一体化させることに魅せられ、自身も版画を始めるようになった棟方にとって、文字あるいは言葉というものは創作活動には欠かせない、それ以上にお互いを高めあうものだったのではないだろうか。
冬の展示では書作品のほか、文字と一体となった板画、倭画などの作品を主に紹介する。