棟方志功は自身が描く肉筆画を倭画と呼んでいた。「絵画は塗るのではなく、描くことである」ということを信条としたところから、敢えて倭画と呼んだものである。
この倭画について≪絵は直接筆のついたところが効果ともなり結果ともなる≫と語っているように、倭画は板画のような表現とは違い、筆が自在に動くため描線一本一本が非常な速さで描かれている。
また、≪(ネブタは)強烈きわまる染料で黄、赤、青、紫の、様々な極端な原色を駆使して作るのです。このネブタの色、これこそ絶対混じりけのない私の色彩でもあります≫と語る棟方は、白と黒のバランスから生まれる美を目指した板画に対し、倭画では鮮やかな色彩を駆使した華やかな作品を多く制作した。
夏の展示では自在な描写と華やかな色彩の倭画を主に紹介する。