引札は、現在の広告チラシにあたり、江戸時代から商品や商店の大売出しなどの宣伝のために使われたもので、明治時代中~後期頃、最も盛んに配られました。
引札の魅力は、商品や商店についての文字情報だけではなく、お客さんを“引きつける”ため、図柄や色彩などに様々な工夫が凝らされていることです。画面には、福の神や松竹梅、鶴亀といっためでたい絵をはじめ、鉄道や蒸気船、電話のような文明開化の利器など、人目を惹くための図柄があふれています。その一方、実用的な暦や時刻表などを入れることによって、一年中貼ってもらえるような工夫も考えられているのです。
今回、明治時代の引札を読み解いていくことで、富山の商店が展開した広告活動をはじめ、当時の人々が抱く興味・関心のあり方、さらには引札の生産・流通の一端についてもあわせて紹介します。