公益財団法人 石川文化振興財団(所在地:岡山県岡山市、理事長:石川康晴)主催の下、7-8月のTARO NASUは「ユメイエ」展を開催いたします。これは日本の若手建築家9人とふたつのユニットを、彼らが作成したドローイングと模型を通じて紹介するものです。合計13人の若手建築家の選定は建築家の千葉学氏(東京大学大学院教授)が行い、彼らの実際の活動についてのインタビュー取材記事は、「日本の若手建築家/Japanese architects of the next generation」webサイト上で公開されています。
建築家にとってドローイングや模型は、実作のためのスタディであると同時に、それ自体がひとつの可能性を秘めたメディウムの役割を果たしています。「幻視の建築家」と呼ばれた18世紀のクロード・ニコラ・ルドゥーやエティエンヌ・ルイ・ブーレー、ル・コルビュジエやミース・ファン・デル・ローエに代表される20世紀のモダニスト、さらには「建築の解体」を志向した1960年代以降の建築家たち。いつの時代においても優れた建築家たちは、テクノロジーと社会のリアリティ、そしてその先を見据えながら、空想的かつ予見的ともいえるヴィジョンを描き出します。そして彼らがドローイングや模型を通して明示した世界は、時に実作以上の大きな影響を建築とその周辺領域に与えてきました。
この展覧会は、建築設計という実践的な営みと「夢」という想像力の領域の橋渡しを意図しています。13人の若手建築家たちに与えられたテーマは「夢の家」です。家とは建築のアーキタイプであり、「建てる」や「住む」といった人間の始原的な営みをめぐる思考と深く関わっています。そして「夢」という概念の解釈は個々の建築家に委ねられています。ドローイングや模型が体現する小さなスケールの空間内には、それらの夢が積層し、現実の建築以上に濃密なミクロコスモスを形作っています。閉塞感が漂う時代のなかで、果たして建築はどのような夢を紡ぐことができるのか。個人から社会までを横断する多様な回答は、これからの日本の建築が持ち得るポテンシャルの一端を示しています。
【参加建築家】
青木弘司
畝森泰行
大西麻貴+百田有希/o + h
海法圭
田根剛
teco (金野千恵+アリソン理恵)
中川エリカ
能作淳平
能作文徳
萬代基介
御手洗龍