本展は明治維新150年の前年、プレ企画として開催するものです。
山口亮一(やまぐち・りょういち、1880~1967)は、佐賀藩において代々家老をつとめた中野家の次男として佐賀市に生まれました。医師山口亮橘の養嗣子として医者になることを望まれつつも 画家を志し、東京美術学校の西洋画科在学中から文展入選を果たして頭角を現します。明治44(1911)年に首席卒業の後帰郷、以降は生涯佐賀で暮し、後進の育成とふるさとの画壇の発展に力を注ぎました。
大正2 (1923)年、佐賀県出身の日本近代洋画の大家・岡田三郎助と久米桂一郎を中心に、佐賀の美術振興を目的とする「佐賀美術協会」が設立され、その翌年、佐賀県における初めての総合美術展覧会「佐賀美術協会展」(美協展)が開催されました。山口はその開催に尽力し、協会の初代会長に就任しました。この「佐賀美術協会展」はその後も継続され、洋画をはじめ日本画、工芸等を含めた県単位では国内最長寿の美術展のひとつとして、本年、記念すべき第100回を迎えます。
本展では、山口亮一の優品の数々、そして美協展に出品し、佐賀の美術振興に寄与した芸術家たちの作品を紹介し、山口の業績を顕彰すると共に、佐賀の美術界が歩んだ100余年の一側面を概観します。