絵本作家・葉祥明(ようしょうめい)は1973年に『ぼくのべんちにしろいとり』でデビューしました。以来40年以上、子どもから大人まで幅広く親しめる作品を描き続けています。中でも全国学校図書協議会の推薦図書に選ばれる等、学校で多くの子どもが目にした絵本『地雷ではなく花をください』(自由国民社刊)や、累計30万部を超える人気となった『おなかの赤ちゃんとお話ししようよ』(サンマーク出版刊)シリーズなど、葉祥明の作品に触れたことがある方は多いでしょう。オリジナルのキャラクターも <白い犬のジェイク>をはじめ、オレンジ色のペンギン<ジェイムズ>、ファンタジックなくはちぞう>など楽しい仲間が増え、彼の世界を伝えるメッセンジャーの役割を果たしています。その内容は環境問題から自分探しなど様々ですが、一貫して「絵本を通して心の平和を届けたい」との想いが込められています。牧歌的なメルヘンの「美しい世界」だけではなく、その背景には「知ってもらいたい大切なこと」が描かれていて、そこから読み手の“思いやり ”や“優しさ”を見つめ直すきっかけとなることを願ったものです。
本展では、葉祥明の代表的な絵本原画を中心に、約150点で彼の絵画表現を紹介します。特に、宮沢賢治ゆかりの地、岩手県花巻市での開催にあたり、葉が1987年に挿絵を描いた『やまなし』の原画を初公開します。子供から大人まで 世代を超えて親しまれる葉祥明の柔らかな空気に包まれたような表現世界を楽しんでいただきたいと思います。