髙橋節郎(1914-2007)は、漆を駆使した芸術家として若年期より活躍を示し、漆工作品に斬新なアイデアを取り入れ続けながら優れた芸術作品を発表しました。1953年、独自の表現を切り開き続けるため、デザイナーとして勤務していた企業を辞し、アーティストとしての活動に専念します。翌年、松本市内に住む親類を中心に、郷土期待の芸術家髙橋を支援するための後援会が組織され、松本市の画廊で初の個展が開催されました。これらの機会に故郷の人々らが高橋の作品を求め、その創作活動を応援したのでした。その後も、髙橋は自身の活動を支えた人々への恩返しをするかのように、目覚ましい活躍を続け、現代工芸界を牽引し、芸術活動へ多大なる貢献をしました。
この度の展覧会では、髙橋の没後10年の節目のにあわせ、今も個人の方が大切に所蔵されている髙橋作品を中心に構成し、髙橋芸術の知られざる数々の作品をご紹介します。