「バロック」は、「歪(ゆが)んだ真珠」を意味する単語「バロッコ(Barroco)」を語源とする美術様式です。16世紀末にイタリアで生まれ、18世紀初めまでヨーロッパ各地で多彩な展開を見せました。
バロック絵画の特長は、激しい光と影のコントラストや豊かな色彩、躍動感のある構図を通じて、より鑑賞者の心に訴えかけるような、ドラマチックな表現が用いられたことです。更に、広範な地域で発展したことで、各地の風土を反映していた点も特徴のひとつといえます。例えば、イタリアではキリスト教への宗教的な熱意を掻き立てるような作品が求められ、オランダでは市民社会の発展をうけて肖像画や静物画、世俗画といった多彩な主題が人気を博しました。
本展は、チェコ共和国最古の美術館であるプラハ国立美術館、ポーランドのヨハネ・パウロ2世美術館、フランス・ドゥエのシャルトル会修道院美術館のコレクションから、イタリア、オランダ、フランドル、ドイツ、フランス、スペイン各地のバロック絵画を計44点、選りすぐってご紹介するものです。全ての作品が佐賀県初展示であり、中には、ルーベンス、レンブラント、ブリューゲル、ベラスケス、ムリーリョ等、高い人気を誇る巨匠の作品が含まれています。
ぜひ、ドラマチックで感動的なバロック絵画の世界をご堪能ください。