「絵巻」は文学と美術を一つにした、日本で隆盛した様式です。説話や物語の場面場面を絵画で表し、手元で見進めて行くうちに、作品の世界に知らず知らず入り込んでしまいます。私たちが絵巻を鑑賞する場合、美術館のガラスケースの中で見るように広げられた姿で見ることが多いと思いますが、かつての所蔵者たちは手元で少しずつ送りながら鑑賞していたと考えられています。絵巻を広げていくと、細やかに描かれた人物・場景・季節などが巻物から次々に現れ出て、私たちの眼を楽しませてくれます。
また長い時代を経る間に絵巻や経巻が切断され、断簡の状態になっても現代に伝わっている作品も多くあり、いかに絵巻や経典が大切にされてきたかがわかります。
この第二幕ではこうした絵巻と併せて経巻も展示し、巻物形式の作品の淵源を示します。
「開く」ことで初めて広がる「絵巻」の魅力に触れてください。