当館の位置する岡崎市は、徳川家康の生誕の地です。岡崎城に生まれた家康は、江戸幕府を開いて天下泰平の礎を築き、その生涯を閉じた後には、神格化されて「東照大権現」として祀られ、各地に東照宮が建立されました。家康の肖像は数多く残されていますが、これは各地の寺社や将軍家、大名家などで崇拝され、祭祀に用いられたことによります。その姿は生前の家康を描いた画像をはじめ、祭祀等に用いられた東照大権現像、三代将軍家光が夢に現れた家康の姿を描かせた霊夢像など多岐にわたります。
本展では、德川記念財団の所蔵資料を中心に、京都知恩院をはじめ家康ゆかりの寺社に伝わる家康の肖像を展示し、図様の変遷や制作意図を探るとともに、歴代将軍の肖像画を一堂に会し、その実像に迫ります。さらに日光東照宮をはじめ、大樹寺や瀧山東照宮など県内寺社の資料により、東照宮信仰のあり方について紹介します。家康公四百年祭の集大成となる展覧会です。この機会に郷土の生んだ英雄・家康への理解を深めていただければ幸いです。