古くから画家は自画像を描いてきました。自画像は、画家あるいは彫刻家が自分自身を表現した作品をいい、彫刻の場合はとくに自刻像といいます。
当たり前のことですが私たちは自身の顔を直接見ることはできません。どんな表情なのかは鏡を通して間接的に見るしかないのです。鏡の中の顔を見つめ、心の中で対話しながら描かれた自画像は単なる肖像画ではなく、自ずと精神性が表れたものであるはずです。絵を描く職業ならではの、究極の自己表現が自画像といえましょう。
このたびの展覧会では、笠間日動美術館所蔵の自画像コレクションより約60作家を取り上げ、絵画作品も合わせ展示します。これらの作品に私たちは画家の人格までも垣間見ることができるでしょう。