関東大震災から、まもなく80年の月日が経過しようとしている。
大正12年9月1日に発生したこの地震と火災により、多くの人命が奪われ、江戸時代から明治時代にかけてつくり上げられた東京の街並みは軒並み失われるなど、災害史上最悪の事態がもたらされた。しかし、震災後の復興事業の進展とともに、東京は大きく変貌を遂げることになる。街路や災害時の避難場所を兼ねた公園が新たに整備されたほか、橋梁や鉄筋コンクリート造の防災建築が造られるなど、現代の大都市:東京の基盤がこの時期に築かれていったのである。
今回の展覧会は、関東大震災を契機として、文京の街と人々の暮らしがどのように変わっていったのかを現代と比較しながら明らかにするとともに、今後の「文京のまちづくり」のあり方を見つめ直す機会を提供するものである。