ルーシー・リーの名前は、20世紀の陶芸を語るとき、必ず登場します。
1902年ウィーンに生まれたルーシー・リーは、工業美術学校に入学した時から、1990年88歳で脳梗塞に倒れるまでの68年間、一途にロクロに向かい続けました。そして、陶芸作家として初めて、メトロポリタン美術館でハンス・コパーとの二人展を開催するなど、陶芸界に多大な影響を与えました。
30代でナチスの台頭するウィーンから、すべてを棄ててイギリスへ。しかし、イギリスへ渡ったことは、また、彼女の転機でもありました。バーナード・リーチをはじめとする陶芸家たちとの出会い、ドイツから逃れてきたハンス・コパーとの親交。「すべての新しい作品は、新たな始まりである」と語ったルーシー・リーは、困難の多い人生を送った女性でしたが、その作品は、詩情にあふれ、一期一会の喜びに満ちています。
本展は、ルーシー・リー生誕100年を記念して開催されるものです。これまで日本ではあまり紹介されなかった彼女の技法にも触れながら、ウィーンでの貴重な作品を含めて、各時代の作品を網羅し、ルーシー・リーの世界に迫ります。