公津村(現・成田市)の佐倉宗吾は、領主の悪政に苦しむ農民を救うため将軍へ直訴し、命を落とした義民として語り継がれてきました。この事件をもととした歌舞伎「東山桜荘子」が嘉永4年(1851)に大ヒットし、明治以降も「佐倉義民伝」など題名を変えながら上演され続け、舞台に取材した浮世絵が数多く出版されました。
このたびの展覧会では、三代歌川豊国や歌川国芳らによる子別れや尋問などの各場面を描いた浮世絵を展示し、宗吾の物語をたどります。あわせて、主人一家に忠義を果たした姉崎市兵衛の物語「上総綿小紋単地」を紹介します。実在した房総ゆかりの人物から生まれたフィクションの世界をご覧ください。