武蔵野美術大学美術館・図書館 民族資料室では、展覧会「だるまで巡るニッポン―日本全国だるまのかたち―」を開催します。
日本では、だるまは最も身近な縁起物の一つです。だるまを見たことのない人は少しでしょうし、願い事が叶ったら目を入れるということは多くの人が知っているのではないでしょうか。今でも東京都西部の多摩地区や群馬県高崎市をはじめ、正月の時期を中心にだるま市が開かれている地域は全国にあります。
元々だるまは禅宗の祖とされる仏僧である達磨をかたどったものですが、日本では宗派を越えた抽象的な縁起物として、あるいは玩具として様々な形で親しまれてきました。現在では縁起物や願掛けの対象としての性格が強いだるまですが、その赤い色が魔除けの効力を持つと信じられ、信仰的・呪術的な役割を積極的に期待された時代もありました。
また、通常だるまは型に紙を張って作るいわゆる張り子で出来ていますが、木をろくろで挽いて作った玩具や凧などのモチーフとなることも多々あります。それだけ、日本ではだるまが馴染み深く、特別なものだったということもできるでしょう。
武蔵野美術大学 美術館・図書館 民俗資料室では、だるまおよびだるまをモチーフにした資料が600点ほど収蔵しています。これらの資料は日本各地から収集されてきましたが、その形や模様といったデザインは製作地によって様々な特徴を持っており、バラエティーに富んだものとなっています。
本展ではこうした全国のだるまを概観することで、そのデザインの多様性や地域性、あるいは同一性を明らかにします。異なった表情をみせるだるま達を通して、日本のデザインの面白さに目を向けていただければ幸いです。