この度、当館コレクションによるの中から、約2年ぶりにシャガールの版画集「ダフニスとクロエ」を展示致します。
色彩の魔術師と言われ、その鮮やかな色彩を用いた作品で現在もなお多くの人々に愛され続けるシャガール。油彩と同様、版画作品も多く制作しています。
「ダフニスとクロエ」は、2-3世紀のギリシアの詩人ロンゴスが書いた物語で、エーゲ海に浮かぶ美しい島レスボス島を舞台に、山羊飼いに拾われた少年ダフニスと羊飼いの牧人に拾われた少女クロエが成長し、藍を育んでいく物語です。その物語にシャガールが挿絵として42点の版画を制作し、版画集として出版しました。季節を巡りながら進んでいくストーリーに沿って描かれたシャガールの作品は、色彩豊かに彩られ、光に溢れたギリシアの風景を表しています。
シャガールは、この版画制作のためにギリシアを取材して廻りました。その時に滞在したアテネ、ボロス島、オリンピアなどの風景や地中海の光は、シャガールに鮮烈な印象を残しました。20色以上の色を用いて表現した物語は、色彩の魔術師と称されるシャガールの芸術が凝縮されています。
物語の持つ古代ギリシアの牧歌的風景と、シャガールの色彩が放つ、明るく幻想的な世界をご覧下さい。