日蓮聖人は、まことに不撓不屈の生涯を送られた方でした。1222年、安房(現千葉県)に生まれた聖人は、比叡山などで修行を積み、1253年、故郷に帰って法華信仰の弘通(布教)を始めます。その布教のスタイルが、他宗派を激しく批判するものであったため、一門は鎌倉幕府などから激しい弾圧を受けますが、ついに屈することはありませんでした。1282年、聖人は61歳の生涯を終えますが、その信仰は高弟たちによって広められ、今日の隆盛をみるにいたります。
今回の展覧会は、その日蓮聖人の立教開宗750年を記念して、日蓮諸宗のお寺に伝わる聖人ゆかりの品々、法華信仰にまつわる美術品、さらには長谷川等伯、尾形光琳ら、宗門に帰依した多くの芸術家たちの作品を取り上げ、一堂に展示しようとするものです。教科書でおなじみの国宝「立正安国論」や、聖人の姿を忠実の写したとされる妙本寺の「日蓮聖人坐像」、さらに、新たに発見された等伯の絵など、およそ160件を展観いたします。門外不出とされた秘宝も多く含まれる、まさに空前の規模の展覧会といえましょう。この希有な機会に、ぜひ多くの方々にご鑑賞いただきたいと思います。