大正初め、30歳代半ばの鏑木清方は、日本画壇から美人画の名手として注目されていましたが、大正4年から美人画を主軸としつつ、新たな表現を求め自然の風景に重きを置いた作品を描くようになりました。
風景画を手がけていく中、清方は次第に神奈川の景色に心惹かれていきます。「金沢八景」として名高い横浜・金沢への旅行をきっかけに、当地に別荘を持ち、金沢の風景に度々取材しました。そして、戦後には風光明媚な鎌倉を終の棲家の場に選び、豊かな自然に囲まれつつ創作活動を行いました。
本特別展では、明治から昭和に描かれた自然の風情豊かな美人画作品を、清方の代表的な美人画作品《朝涼》や、初公開作品とともに紹介します。