ふるさかはるかは、14年前から北極圏でトナカイと暮らす遊牧民だったサーミの人々の村を訪れています。厳しい自然の中、トナカイと共に生きる術を身に付けてきたサーミの人々と生活を共にし、近年ではその経験をもとに山の暮らしと道具に着目して木版画作品を制作しています。
一方、青森市が所蔵する道具や衣類などの民俗資料は、麻や木、竹など身近な素材から人々が工夫を凝らして自分達の手で作り使ってきたものです。これらの資料からは、青森の人々がこの土地から多くの恵みを受け取り、喜び、畏れ、敬い、付き合ってきた様子が見え隠れします。そしてそれはサーミの人々や、他のあらゆる暮らしの中でも同様に綿々と続いてきた、自然の中で暮らす全ての人間に共通する姿でもあります。
本展では、ふるさかがサーミをテーマに制作した木版画作品と、青森市が所蔵する山の道具、台所用品、衣類などの民俗資料や、山や風俗を描いた絵画、版画作品を展示します。ふるさかの作品と青森市所蔵作品を手掛かりに、人間が自然とどう関係を育んできたかが浮かび上がってくるでしょう。