小説家、編集者、写真家、映画監督 ─ いくつもの顔をもつ椎名誠。
流通業界誌の編集長を経て、『さらば国分寺書店のオババ』で「スーパーエッセイ」なる新分野を開拓し、衝撃的デビューを飾ったのが昭和54年。以降、『岳物語』をはじめとする私小説、『アド・バード』などのSF小説、『パタゴニア』『にっぽん・海風魚旅』をはじめ国内外の旅エッセイを著し、「本の雑誌」編集長をつとめながら、おなじみの「赤マント」シリーズや「むは」シリーズなどの日常&読書エッセイ、さらには自身で撮影した写真に文を添えた『旅の紙芝居』などの写真エッセイ集や絵本にいたるまで、多方面で活躍しています。また、映画監督としても四万十川や沖縄、モンゴルなどでロケを敢行、全国を巡業しての興行も成功をおさめました。
無人島で流木を焚き火にキャンプを張り、映画を撮りながらモンゴルの草原を馬で疾走し、激辛の味を求めてアジアを旅し、南の島の海浜で発見した新しいスポーツを普及・・・・・・。日本国内と海外の山や海、北極圏の氷河から大陸の砂漠、そして夜更けの都市をずんがずんがと踏みしめて歩いてきました。その圧倒的行動力はとどまることがありません。その行状記も、あるときは旅エッセイとして、またあるときは私小説のかたちで、つぶさに読者に届けられています。
本展では、原稿、取材メモ、旅先で撮影した写真などのほか、作品に登場する思い出の品々や、旅先で使った道具、影響を受けた本など、秘蔵資料約250点を大公開。世田谷生まれで、挑戦的旅をライフワークにして歩きつづける椎名誠の「圧倒的行動力」を分解、多角的、立体的に紹介します。