京都国立近代美術館は、50年以上の多彩な活動を通して日本有数の近現代美術のコレクションを築き上げてきました。本展は、特に日本画と工芸の分野から、京都にゆかりのある作家の作品を厳選し、「みやび」といった言葉で表される美意識や、作家の自我や個性の芽生えと共に培われてきた「モダン」な感覚を見ようとするものです。
日本画では、京都画壇を代表する竹内栖鳳(たけうちせいほう)、琳派の継承者で近代デザインの先駆者である神坂雪佳(かみさかせっか)、上品かつ格調高い美人画で知られる上村松園(うえむらしょうえん)、また、大正時代に結成された国画創作協会を牽引した土田麦僊(つちだばくせん)や小野竹喬(おのちっきょう)、戦後にパンリアル美術協会を結成し日本画の革新を目指した下村良之介(しもむらりょうのすけ)らの作品を紹介します。工芸では、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)や河井寬次郎(かわいかんじろう)、富本憲吉(とみもとけんきち)、八木一夫(やぎかずお)、鈴木治(すずきおさむ)らによる陶芸、森口華弘(もりぐちかこう)や志村(しむら)ふくみ、北村武資(きたむらたけし)、森口邦彦(もりぐちくにひこ)らによる染織、そのほか漆芸、七宝、金工、木工芸まで幅広いジャンルの作品を展示します。その中には、重要無形文化財保持者(いわゆる人間国宝)らの名品も数多く含まれます。
前期後期合わせて約70名の作家による約120件の名品を通し、長い伝統に裏打ちされた美意識とともに、近代特有の清新な感性も堪能していただければ幸いです。巨匠たちによる日本画・工芸の傑作が豪華競演する貴重な機会をぜひお楽しみください。