戦後まもない昭和二十二年(一九四七)に開館した本間美術館は、今年で開館七十周年を迎えました。本間美術館には、本間家や篤志家からの寄贈、美術館活動のなかで収集された、絵画や書、茶道具や漆器などの工芸品、古文書、浮世絵など、多岐にわたる幅広いジャンルと時代のコレクションが収蔵されています。
本展は開館七十周年を記念し、現在の八代目館長・田中章夫の審美眼によって選ばれた優品をご紹介する特別展です。本間美術館で四十年近く学芸員を務めた田中館長は、日本と中国の古画に精通し日本文学にも詳しく、今も現場で活躍しています。また、これまでに多くの作家や篤志家と交流し、寄贈や収集に立ち会ってきました。今回選ばれた作品は、そんな館長の知識と経験から見出された深い魅力と唯一無二の価値をもっています。
現在は東京国立博物館に寄託しており、十年ぶりに里帰りする重要文化財《蒔絵二重短刀箱》をはじめ、県指定文化財《葡萄栗鼠蒔絵刀筒》・小野道風《絹地切》や、刀剣博物館から数十年ぶりに里帰りする市指定文化財《太刀 銘月山作》は必見です。この展覧会を通して、本間美術館の七十年のあゆみを振り返るとともに、館長が選ぶ珠玉のコレクションをご堪能いただければ幸いです。