――すききらいってなんだろう。
毎日の食卓に上るすきなもの、きらいなもの。すきな科目ときらいな科目。すきな子ができた? きらいな友達はいる? 今日はどんな服を着ようか。ねこがすき? いや、犬がすき。季節やにおい、色や数字にだって、お気に入りがある。
大人はみんな、「すききらいはダメ」と言うけれど、わたしたちはみんな、すききらいで選びながら、毎日を生きている。そんな「すき」や「きらい」の根っこにあるのはなんだろう。
テレビのチャンネルはすきなものだけ選べばいい。インターネットはおもしろそうなものだけクリックすればいい。自分がすきなものだけを選べるようになったのが今の世の中らしいけれど、選ばなかったらずっと知らないままなのかな。もし自分の「すき」がだれかの「きらい」だったら、この楽しさを伝えることもできないのかな。
この展覧会では、作品を見た人が「すき」や「きらい」について考えるきっかけとなる作品を、いくつかの章に分けて展示します。普段は大人たちが「ダメ」と言ってしまいがちな「すききらい」も、美術の世界ではあたりまえ。自分の意見を持ち、感じたことを伝え合うこと。それによって、他の人が違う意見を持っていることを知り、自分だけでは気づかない楽しさがあることを感じ取ることへもつながるでしよう。
夏期休暇中の子どもたちが積極的に美術館へと足を運べるように、また子どもと大人が一緒になって、さまざまな美術の面白さに触れられるようにと企画する「なつやすみの美術館」シリーズは、今年で7回目となりました。この夏、大人のみなさんも、こどものみんなも、じっくり「すききらい」に向き合ってみませんか。