何かの一つにはまるということには何しろきっかけが存在する。
今僕を構成している世界にもきっかけは存在している。
それは、ある暗い公園をさすらった帰り道、正体不明の何かに追われて信号灯のない大きい道路を焦って渡りながら聞いたトラックの警笛だろうと思う。
厳密に言えば警笛に気づいたのは安息場にやっとたどり着いてからだった。
その警笛はソファーに横たわって息抜きしている僕の耳の中でずっと響きながら感情の深い深いところまで降った。
ともすれば無意味ですらあったその警笛、あてもなくさすらう僕の記憶。
その時だった、僕が触る全てが暗闇になる事に気付いたのは。
決して悪い事ではない。
その警笛の音を皆にも聞かせたい。
いつか僕の黒が光る時、きっと皆にも聞かせることができるだろう。