作家のことば
私の版画は年賀状で始まった。1967年から木版画を50年続けている。元々絵は好きで大学時代から始めた油絵については卒業間際に個展を開くほどにホットになっていた。サラリーマンをする傍ら、余暇には絵を描き、展覧会にも随分出品した。ところが、ふとした動機で小版画を交換しあうというグループに入会してから、その魅力にすっかり取りつかれた。ここでは会員の作品集を年に6回編んでいた。その後入会した版画白峰会、版友会でも同様なシステムで作品を作り続けている。一方1987年には下野愛書会に入会して、木版画で豆本や蔵書票を作るという世界にのめり込んでしまう。これまた今も継続している。こうしてみると、なぜか私は「小さきもの」との関わりが多いようだ。表現手段として考えてみると小さい方が私は好きである。そして小さい子供たちに版画のレクチャーをする機会の多いこの頃にむしろ満足している。「若い人達に小版画の面白さを伝えること」とお返しに「若い感性から学びとること」これが目下の芸術活動でしょうか。