平成28年、富山市の樂翠亭美術館において、現代工芸を代表する気鋭作家による展覧会「PUNK 工芸-魂の救済」(平成28年9月17日(土)-12月6日(火))が開催されました。本展は、そこで展示された作品を一部入れ替える等して、改めてご紹介するものです。PUNK(パンク)とは、1970年代に生まれたパンク・ロックを中心に発生したサブカルチャーのことで、パンク・ロックの流行と共に、反骨精神の象徴として世界的に広がりました。現在では、反体制的な姿勢そのものをパンクと呼ぶ場合もあります。本展におけるパンクという言葉には、反骨精神を表す一方、現代社会にむけた一種の「起爆剤」としての希望も込められています。今の時代を生き抜く強い力を持つ作家たちが、既成概念にとらわれることなく斬新で尖鋭的な作品を呈示して、“新しい工芸”を生み出そうとする姿勢は、まさにパンクと言えるでしょう。確かな技術を持つ彼らが生み出す作品は、現代における工芸の可能性を広げていると言っても過言ではありません。
本展では、陶芸の伝統的な産地である岐阜県美濃地方で活動する加藤委、若尾経、伊藤秀人、加藤亮太郎、大江憲一、川端健太郎、新里明士、桑田卓郎らの陶芸家たちに、輪島塗の産地である石川県輪島市の漆芸家・角好司と、生まれ育った北海道の雄大な自然を背景に制作を行う金工作家・武田享恵を加えた10名により、進化し続ける現代工芸の魅力を紹介します。