型染と天然染料の引き染の染色技法を使い、インスタレーションと合わせて制作する。色の意味、美しさ、強さ、歴史、記憶について思考し、色の世界に深く潜りたいと願う。
植物染料は浸染で染める技法が中心で、刷毛で染める引き染を行うことは少ない。引き染は糊で防染する日本の型染技法の発達により、発展した技法である。化学染料が発見されたのはおよそ160年前、一般的に日本で流通したのは120年程前のことである。それまでは全て、天然染料であった。古くは紀元前3000年より天然染料の歴史は続いていると言われている。その太古から続く、天然染料に内包される記憶に想いを馳せながら作品を創る。
※ 天然染料 主として植物染料を意味する。鉱物は含まない。