1999年から毎年開催されている「MOTアニュアル」展は、グループ展形式で毎回新しい美術の動向を紹介することにつとめています。今回は、日々の生活や自身の周りを静かに見つめることから制作された作品のもつ多用な表現に焦点をあて、展覧会を構成しました。急速な時代の変化のなかで、確かな基準がみいだしにくい現在、自身とその周囲を見つめ、その感性に従い、思考を深めることで着実な世界を築いている作家の作品を紹介することで、現代における美術のひとつのあり方を示せるのではないかと考えています。
一見おだやかながらも、その奥に様々な思いが読みとれる作品には、現代社会の複雑さがかいま見えますが、それと同時にその表現の豊かさ、美しさ、深さを感じ取っていただきたく思います。