桃紅シリーズは、2013年に篠田桃紅100歳を記念して発行した図鑑『百の譜』の各章を取り上げ、4つのキーワードで美術家・篠田桃紅とその作品を読み解く展覧会です。
1回目の今回は、「仕事のみなもと」と題して、洋の東西を超えて普遍的な美を提示する桃紅水墨の原点を探ります。
桃紅は1913年中国の大連に生まれました。2歳になる前に帰国し、現在まで東京に居を構え制作を続けています。桃紅自身は岐阜に住んだことはありませんが、父・頼治郎の生家が長良川の上流に近い岐阜市芥見にあったため、桃紅にとって岐阜は父のふるさととして、大変愛着のある土地と言えます。幼少の桃紅に墨と筆を与え書の手ほどきをした父、その父の生まれ故郷である岐阜、そこに世界的な墨象作家として活躍する桃紅の創作の源流があるのかもしれません。