わが国の色絵磁器(いろえじき)のわざと美の極致を追求した色鍋島の伝統を、今日まで一貫して担ってきたのが、藩政期に御用赤絵屋(ごようあかえや)をつとめていた今泉今右衛門(いまいずみいまえもん)家です。その工芸技術は重要無形文化財「色鍋島」の保持団体としての色鍋島今右衛門技術保存会に受け継がれ、また、その芸術性は同時代的美感を加える独自の表現で色絵磁器の造形美を追求した、十三代や当代の今右衛門(ともに重要無形文化財「色絵磁器」の保持者〈人間国宝〉)の作品にみごと開花しています。本展では、平成26年(2014)に人間国宝の認定を受けた当代今右衛門の最新作から、明治以降に色鍋島の伝統を引き継いだ十代から十三代の今右衛門の近代作と、色絵をはじめ染付(そめつけ)や青磁(せいじ)を含む鍋島藩窯の精品まで、そして色鍋島を理解する関連資料なども展示して、現代にいたる色絵磁器の崇高と美について、色鍋島370年の歴史を遡って紹介します