この展覧会は猪熊弦一郎とその作品を子どもたちに紹介するために作られた絵本『いのくまさん』から生まれました。
こどもの ころから
えが すきだった いのくまさん
おもしろい えを
いっぱい かいた
「いのくまさん」こと猪熊弦一郎(1902-93)は香川県に生まれ、東京美術学校の藤島武二教室にて西洋画を学びました。その後、帝展で活躍しましたが、改組をきっかけに小磯良平らと新制作派協会を設立し、東京、パリ、ニューヨークと拠点を移しながら、晩年まで旺盛な制作活動を続けました。
ついつい口ずさんでしまうような言葉で始まる詩は、詩人・谷川俊太郎がこの絵本のために書き下ろしたものです。初期人物像をはじめとする具象画から、渡米後の抽象画、そして具象抽象を超えた独自の表現へと展開してゆく猪熊の作品制作における変容の様子が、250字余りの平仮名によるシンプルな言葉で紡ぎ出され、頁に広がった作品と呼応しています。会場では絵本に沿って、猪熊作品とともに詩を添えて展示いたします。
まるで絵本の中に入ったような会場の中で、創造の喜び、楽しさを感じてみませんか。