池口史子は、東京藝術大学美術学部油絵科を卒業後、同大学院へと進み、現在も個展やグループ展を中心に活躍を続けている画家です。異国の街並みや人物、動植物をモチーフに描かれた作品は、作者の瞳が触れたありふれた日常の風景に潜む静寂の情景が表れており、洗練された画面の力強さには、作者が肌で感じ取ったモチーフの息遣いが感じられます。
静けさと同時に力強さや躍動感、生命力といった一見相反すると思われる要素を内包することで、作品の世界観は深く繊細なものとなり、池口が感じ取った情景が重厚に反映されています。
本展では、作者が静寂を捉える視点(まなざし)に着目し、現在の作風に至る軌跡を、初期から現代に至るまで年代別に紹介します。人々をひきつける魅力にあふれた作品の数々をぜひお楽しみください。