東広島市立美術館では、特別企画展 現代の造形―Life&Art―「光―身近に潜む科学とアート―」を開催いたします。当館では、これまで美術と生活・産業の接点において、人や生活と美術とのかかわりを造形の視点から幅広く捉えなおすことを目指して企画展を開催してまいりました。第11回を迎える今回は、生活と産業、そしてアートに結びつきがある科学を切り口とし、とりわけ私たちの身の回りにあってなじみ深い「光」について紹介する展覧会を開催します。
「光」は自然界における星や炎、そして現代の生活を支える電気として、暗闇を照らし、温度を与え、時間や季節の訪れを告げる役目を持って身の回りに存在します。アートの世界においても、光を集め、像を投影する装置“カメラオブスクラ”の発明により、写真芸術が生まれ、現在では新たに人工の光を用いた映像作品等も普及しています。一方、科学の世界では観測記録装置に活用され、瞬間や光跡を捉えるとともに紫外線や赤外線といった人間が見ることのできない光の領域も科学の対象とし、様々な研究に応用されています。ここ東広島でも肉眼では見えない近赤外線を活用した「かなた望遠鏡」により、すぐれた天文学の研究が行われているのです。
本展では、私たちの目に見える領域から見えない領域を含めた「光」を通して、科学と生活、そしてアートの関係について、どのように取り上げ、活かし、表現できるのかを探っていきます。科学を介在させて「光」を捉えることは、私たちの視覚の世界を広げると同時に、日頃意識されることの少ない“見る”という行為そのものを再認識させてくれることでしょう。
多くの来場者の方に、「光」がつなぐ生活とアートの世界をご堪能いただければ幸いです。