70歳以上の方を対象とした公募展「老いるほど若くなる」は、7回目の開催を迎えました。今回は、全国40都道府県から440点のご応募がありました。その中から、審査のうえ入賞・入選した109点の作品を展観いたします。
2003年度に開催した第1回展の趣旨には「華麗ではないが美しい世界、巨大ではないが強い世界、技巧はないが技巧を超えている世界、画法・画論に還元できないもうひとつの美術を『翁』に求めました。」と謳いました。歳を重ねたからこそ描ける世界があるのではないか、そんな世界を観てみたい―。その思いに呼応してご応募くださった方々の作品は、全7回で延べ2,899人の3,284点にのぼります。毎回、作者のこれまでの人生、今の熱情、これからの希望―、様々な想いが込められた作品が松本市美術館に届いています。
松本市は、「健康寿命延伸都市・松本」を将来の都市像として掲げ、様々な取組みをしています。本展では、健康寿命の延伸に大きな影響を与える芸術が持つチカラ、輝きを感じていただけると思います。どうぞ、70歳以上の皆さまが描いた天衣無縫(※)の世界をゆっくりとお楽しみください。
※「天衣無縫」とは、天女の衣には縫い目が全くないということから、文章や絵画がわざとらしくなく、自然に作られていること。また、人柄が飾り気がなく、純真で無邪気なさま、天真爛漫なことをいいます。本展の趣旨と合致し、グランプリを「天衣賞」、準グランプリを「無縫賞」と名づけています。