食事を楽しみ、酒を酌み交わす宴では客をもてなし、友と語らい、慶事が祝われ、その愉快な時間を共に過ごすことで、人々は互いの親交を深めます。古来、儀式や酒盛りなどの宴を通して、神仏と人、人と人の交流が深められてきました。酒を供えて神と人がつながり、飲食を共にすることで人と人とが深くつながると考えられたのでしょう。平安時代には折々の行事に伴って饗宴が催され、雅楽が奏でられ、鎌倉時代にも武家が将軍を迎えて饗応する酒宴などが開かれています。室町時代以降、酒宴の内容は贅沢になっていき、盃を交わす「式三献」の後に酒宴の席が設けられ多くの膳を味わい、お茶が供されました。
様々な宴において、重要な役割を果たすのが器です。どのような器を用いるか、またその取り合わせは、季節やしきたり、客を迎える主人の好みなどにより異なります。食べ物を盛りつける皿や碗、盆、食籠、また酒杯や徳利といった酒器などの飲食に関わる器は、漆器や陶磁器、金属器、ガラス器など趣向を凝らして作られ、宴の場を彩り、楽しまれました。この展覧会では、大和文華館の所蔵品から、これら食や酒、お茶に関わる様々な器をご覧いただきます。青々と繁る竹の庭とともに、大和文華館の趣向による宴の姿をご堪能下さい。(担当 瀧朝子)