今日に至るまでの100年におよぶ日本の絵本の歩みをたどってみると、そこには激動の社会情勢に翻弄されつつも、子どもたちに希望や自由を手渡すためのよすがとして、脈々と連なってきた豊かな表現を見て取ることができます。
1910年代に子ども向けの雑誌「子供之友」や「赤い鳥」が相次いで創刊され、大正デモクラシーの機運を背景に、童話、童謡、童画の運動から芸術性の高い絵雑誌や絵本が生まれました。第二次世界大戦を経て、再び子どもたちに希望を与えるべく、個性的な画家たちや出版社が子どもの本に心血を注ぎ、1960年代になると絵本は再び隆盛期を迎えます。1970年代には「絵本ブーム」が到来し、絵本画家たちはそれぞれの表現を深化させ、物語表現の幅が広がっていきます。1990年代には自由な発想による絵を主体とした数々の絵本も生まれ、その表現はさらに多様な広がりを見せます。
本展では、今日に至るまでの日本の絵本の歩みを、ちひろ美術館コレクションも含めた貴重な資料と原画でたどります。