「―面白いということは重いことだ―」 井上洋介
奇想天外な発想が炸裂する独創的な世界を描いた絵本画家・井上洋介が、2016年2月、惜しまれつつ84歳で亡くなりました。
「その時代、その空間にある材料を使って、表現したいものを表現するのが芸術」と語った井上は、鬼気迫る描写のなかに、愛嬌と哀愁を同居させた独自の画風で、絵本のほか、絵画、漫画、広告、舞台美術など、多彩な分野で活躍しました。「人間は未来永劫変わらない」という信念のもと、一貫して人間の本質を描き続けたその作品には、少年時代に体験した戦災の記憶が内在しています。
本展では、広く愛されてきた『くまの子ウーフ』のほか、予想を越えた展開をみせる自作絵本、見る人を震撼させる怖い絵本など、各年代の代表的な絵本の原画を展示し、井上洋介の絵本の仕事を紹介します。また、絵本と並行して描きつづけたタブローなども展示し、その画業と人物像を紹介します。