傷ついた美少年、流れゆく血、そこに漂う虚無とエロティシズム…
挿絵画家・伊藤彦造は、鋭いペンと緻密な描写力で独自の世界を確立し、昭和初期から戦後まで多くの読者を魅了しました。
彦造は、剣豪伊藤一刀斎の末裔として生まれ、少年の時から剣の修行に真剣を用いたといいます。その経験が、壮絶な死を予感させる緊迫した剣戟シーンをつくりだし、また濃密なペン画はそれを一層際立たせたのでした。
現在、彦造は東京・町田にある邸宅で静かな日々を過ごし、まもなく百歳を迎えようとしています。
今展は彦造の生誕百年を記念して、日本近代の挿絵史の中に残した軌跡を、デビューから戦後までの挿絵原画を中心に、日本画・未公開のスケッチなど300点によって再検証しようというものです。
その強烈な個性により、今なお新たなファンを増やし続けている彦造の魅力は何なのか…。彦造芸術のすべてをご覧ください。