京都と大坂は、江戸時代においても江戸と並んで日本の三大都市でした。京都は平安京以来の王城の地であり、江戸に徳川幕府が開かて政治機能が移った後も織物・染物など工芸品の生産は盛んで、また諸宗派の本山が集まる都市として芸術・宗教の中心を担っていました。
そして、大坂は地形的に水運に適していたことから日本最大の物流拠点となり、商業都市として発展しました。多くの食材、物資が大坂に一度集められ、当時急速な消費受領があった江戸や全国各地に送られました。まさに大坂が日本の食を担っていると言っても過言ではありませんでした。
京都、大坂は同じ上方にありながら、それぞれの歴史、地理を背景に人々の気風や気質が育まれ、独特の文化が形成されました。広重の名所絵を通して活気あふれる人々の営みや魅力あふれる街の姿をご覧いただきます。