長野県に東山魁夷館が開館したのは、いまから27年前の平成2年4月のことです。東山魁夷は82歳。弟子もなく、子供もいなかった東山魁夷は、自らの作品の今後を考え、東山家が所蔵する960点余りの作品を、彼が東京美術学校1年生の時に出会った長野県に寄贈しました。
彼の人生は決して順風満帆ではなく、相次ぐ肉親の死や画壇で認められない日々など、苦しい時代を乗り越えながら、日本だけでなく世界各地の自然を描きました。
寄贈された960点余りには、数多くのスケッチや習作、下図が含まれ、東山魁夷館は、制作のプロセスを見ることができる数少ない美術館です。現在、東山魁夷館が所蔵する本制作は34点。今回はこの代表作すべてを一堂に会し、東山魁夷が描いた風景をご覧いただきます。