19世紀初頭のイギリスで実用化され、その後一世紀半以上にわたり鉄道史を牽引する重要な動力として活躍した蒸気機関車。近代化を推進していた日本でも1872(明治5)年に新橋-横浜間で鉄道が開通すると、新しい交通機関としての鉄道の役割がいかに大きなものであるかを認識する契機となりました。
鉄道よりやや遅れて登場した写真術は、これら鉄道史をいろどったさまざまな蒸気機関車たちを記録にとどめてきました。本展覧会では、19世紀中葉から現代まで、国内外の著名な写真家たちが写しとめた蒸気機関車を紹介します。鋼鉄の塊であるにもかかわらず、脈打つようなリズムにあふれ、美しい表情やしぐさを持つ蒸気機関車たち。その勇姿は誕生以来、世界中に熱心なファンを生み出し、ほぼ任務を終え姿を消した今もなお人びとの心のなかに懐かしい想い出として走り続けています。黎明期から現代にいたるまで、さまざまな蒸気機関車たちを写真によって一堂に会する本展は、間もなく200年を迎える鉄道史をふりかえる貴重な機会となるでしょう。