1914年(大正3年)奈良県出身の小西國葉(本名、文葉)は、アテネフランセ(外国語教育専門)で学びながら、前田青邨・平山郁夫に師事し、1948年(昭和23年)再興第33回日本美術院展覧会(以下、院展)に《能衣》が初入選、その後同展に出品を続け、1953年(昭和28年)に院友推挙、1973年(昭和48年)に特待に推挙されます。
父親は漆芸家であり、正倉院などの宝物や文化財の修復に携わっていたことから、幼少より古美術品や仏教文化に触れる機会の多かった小西國葉は、次第にその煌びやかな仏教美術に憧れを抱き、正倉院などの寺院の宝物や奈良の風土を積極的に作品の中に取り入れ、生涯を通じてのテーマである「天平時代の人物像」を描き続けました。
本展では、小西國葉の院展・春の院展への出品作を中心に、素描や下絵などの資料も含め、それらを一堂に展示し、その画業をたどります。