「瑠璃」や「玻璃」は、貴石やガラスを示すとともに、極楽浄土を荘厳する宝を意味する言葉でもあります。これらは奥深い光をたたえて金属器をかざり、神秘の力を与え、持つものに権威をもたらしました。
こうした装飾効果は、溶かした釉薬で文様を彩る技法の発見によって、より自由な形で可能となります。西アジアや欧州ではすでに紀元前から行われており、やがてこの技法が中国にもたらされると、「琺瑯(ほうろう)」または「景泰藍(けいたいらん)」の名を得て独自の発展を見せました。日本では仏典に見る七つの宝にちなんで「七宝」と呼ばれ、座敷飾りや室内調度に好んで用いられるようになります。
東洋に花開いた七宝かざりの旅路は、人々が求めた光彩と巧みの技で飾られています。本展ではその装飾技術の軌跡を、約一〇〇点の名品でたどります。