東京都庭園美術館は、1933(昭和8)年に朝香宮家の邸宅として建設されたアール・デコ様式の建物を、そのまま美術館として受け継いでいます。
旧朝香宮邸は基本設計を宮内省内匠寮工務課が、主要な7部屋の装飾と玄関ガラス扉の設計・制作をフランス人デザイナーのアンリ・ラパンやルネ・ラリックら、アール・デコの一流のデザイナーたちが手がけ、和洋折衷のユニークなデザインが随所に見られます。
第二次世界大戦後は、吉田茂外相・首相の公邸や、国の迎賓館として使用された時期もありましたが、竣工から50年目にそれまで「幻の建築」と言われてきた建物が美術館として一般に公開され、今日に至っています。
美術館では2000年に外壁を、2001年には旧大客室の壁画をそれぞれ竣工当初の質感と色彩に復元する工事を行いました。本展では、建築そのものが美術品と言われる魅力的な館内を、宮家旧蔵作品や関連諸資料等とともにご紹介いたします。