エリザベス ペイトンは、1990年代初頭より絵画や素描、版画を中心に制作しています。中でも肖像画が特に知られており、描く対象は、彼女の親しい友人から、歴史上の人物や現代のカルチャーアイコンにまで及んでいます。また、アーティストや小説家、ミュージシャンや役者なども常に描写の対象となってきました。近年では、街の風景や静物、オペラからもインスピレーションを得て、肖像画と真摯に向き合いながらその概念を大きく広げています。
日本では紹介される機会が少なかったペイトンですが、この度、日本の美術館としては初となる個展を開催します。作家自身が25年のキャリアから選んだ出品作品約40点は、多岐にわたるジャンルと主題を擁する極めて重要な作品群です。本展は、これまでのペイトンの制作を一望する機会となるともに、互いに響き合う作品を通して、深く思考を巡らす場となることでしょう。
絵画は、一瞬一瞬の時間の蓄積である。あるいは時間をかけて生じるものである。絵画とは、それ自身が必要とするものをすくい上げていく作業だ。絵画の中で起きていることをただじっと観察する。絵画は時間とともにある、それゆえ大きな影響をもつものとなる。